さて、本記事は小説形式でお届けしております。
まだ前回の話を読んでいない人は、ぜひこちらから読んでみてください。
さて、前回の話では、初デートに成功しもえを学園祭に誘ったけいたともえの2人のその後と、久しぶりにしょうまの動向について書きました。
あと、忘れてはいけないのが、新キャラである「しゅんちゃん」ですね。
彼はこの八章でもスポットの当たる存在となりますので、ぜひ注目してみてもらえればと思います。
今回のタイトルにもなっていますし、しゅんちゃんの話を書きながら当時を思い出していたのですが、なんだかんだイケメンって強いなって思いました(笑)
別のブログ記事でも言っている通り、もちろんイケメンでなくてもモテるやつはいるし、逆に、イケメンでもモテないやつはいます。
が、やっぱりイケメンが有利なことは間違いないなと思いしらされました(笑)
恋愛下手でも意外にイケメンな人は多いので、僕の読者で顔に実は自信があるという人は、その武器を存分に生かしてほしいなと思います!
それでは、話が少しそれましたが、本編スタートです。
狂いだす歯車
衝撃的すぎる出会いだった。
こんなにも私のドストライクな顔の男の人を初めて見た。あとなんだろう?オーラ?なのかな。見た瞬間にしゅんちゃん君の瞳に吸い込まれそうな気分になった。
まさか、けいた君とのデートを楽しみにしてきた学園祭でこんな出会いがあるとは、10分前の私は思いもしていなかった。
今から10分前のこと。。。
私は駅から続く坂をひたすらに上り続けて、ようやくけいた君やかなが通う大学にたどり着いた。
にしてもなんでこんな山の上に大学を建てたんだ。夏なんか熱中症患者が続出するぞ。私は心の中で1人そうツッコミを入れた。
今は幸いにして、季節は秋なので熱中症になることはないが、いづれにしても長い坂だった。
そしてそんな坂を登りきると、私はいよいよ大学の正門に到着した。
心臓がバクバクいっていた。こないだ初デートでけいた君に会った時よりも、今日の方がドキドキしている。それはおそらく、今日の方がけいた君を異性として意識しているからだ。
そんなドキドキを抱えながら大学内を歩くと、けいた君にもらっていた学園祭用の地図でサイクリングサークルのブースを指し示す場所に到着した。
すると、ちょっと先から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「おーい、もえー!こっちこっち!」そう言って大きく手を振ってくれているのはかなだった。
私はかなを見つけ、そちらに歩いて行った。そしてかなの横に立っている男の子に目が行く。
それはとても自然な目の動きだった。電車とかに乗っていても、なんの意識もせず、周りの人を見ていたりする時がある。それと同じような感覚だった。
かなの隣にいたから見た。ただそれだけだった。
でも、私の目に入ってきた見知らぬ彼の姿は、私をとらえて離さなかった。
自分でもはっきりわかった。これが一目惚れだって。
そのときの私の頭の中には、驚くべきことにけいた君の姿はなかった。
波乱の学園祭(2)
俺はとんでもないことをしてしまった。俺が悪いわけでもないんだけど。今日ほど自分のイケメンさを呪ったことはない。
今から1時間くらい前のこと、俺はかなの友達であるもえちゃんという子に挨拶をした。
彼女が俺に一目ぼれしたのは、雰囲気や彼女の視線・態度でなんとなくわかった。学生のころから女性に一目ぼれしてもらえることが多いと、そういうのは自然とわかってくるようになる。
そしてもえちゃんは、俺にぐいぐい話しかけてきた。かなが気を利かせて、俺は店頭の当番を変わってもらい、今は休憩中だから、話を聞く分には問題なかったのだが。
そしてもえちゃんと話し終わって少しすると、今度はかなが俺のところにやってきた。
「しゅんちゃん。あのね、お願いがあるんだけど」かなは何やらたくらみ顔でそう言った。あまりいい予感はしなかった。
「どうした?俺に役に立てることならなんでも」いい予感はしなかったがこう答えた。
「さすがしゅんちゃん。あのね、さっきのもえちゃんが、しゅんちゃんと仲良くなりたいからLINEを知りたいって言ってるんだけどいい?」
会ってすぐだぞ。積極さが半端ないな。
というのが俺の感想だったが、断る理由もなかったので、LINEは教えた。
それから10分くらい経って、けいたが戻ってきた。
「おーけいた、ビラ全部配れたか?」
「おーしゅんちゃん、全部配れたよ!部活の後輩とかにも協力してもらった(笑)」なんだか今日のけいたはやけに機嫌がよさそうな気がした。
「けいた今日なんか機嫌いいじゃん。なんかあったの?」俺は気になって聞いた。
「うーーん。まあしゅんちゃんなら口堅そうだしいいか。ちょっと来て」そう言って、俺は茂みの裏に連れていかれた。
「実はさ。こないだかなが企画の合コン行ったって話したじゃん」
「あー、言ってたね。しょうまがちきって誰も誘ってないやつでしょ」
「あー、そうそう。それでさ、俺実はたくま先輩とかしょうまが狙ってた子とおんなじ子を狙っててさ。」
「まじか。お前、俺はまったく動いてないよーって言ってなかった?みんなに隠してるの?」
「実はな。みんなに言うとからかわれたりとかするし、うまくいかなかった後とか気まずいじゃん。だから、まだ琥珀にしかこのこと言ってないんだ。しゅんちゃんで今2人目」
「なるほどね」俺はそう言って、冷や汗をかいた。悪い予感がよぎったからだ。
けいたが実は合コンで出会った女子を狙っていて、そして今日機嫌がいい理由。さらに、さっき出会ったかなの友達だと言っていたもえちゃん。まさかな。。
「で、けいたが今日機嫌がいい理由にそれがどうつながるの?」恐る恐る聞いてみた。
「俺が狙ってるその女の子を、実は今日この学園祭に呼んであるんだ」
そのセリフを聞いて、俺は愕然とした。やってしまった。俺は友達が狙っている女の子から好かれてしまった。
届かない猛アプローチ
学園祭でしゅんちゃんに心を奪われてから1週間。私はひたすらにしゅんちゃんにLINEで猛アピールをした。
しつこくなりすぎない程度に、まめにLINEはしたし、LINEをしている際の話題もこちらから全部ふった。
でも、しゅんちゃんから返ってくるLINEはそっけないものばかりだった。
さすがにここまでそっけないLINEを続けられると、いやだって気づかされる。
しゅんちゃんは私に興味がないんだって。
ここでふと振り返ってみると、ついこないだまで、私がしゅんちゃん側の立場にいたんだなと思った。
たくまさんやけいた君にデートに誘ってもらい、私は完全に選ぶ側の立場にいた。でも今は逆だ。私がしゅんちゃんに一方的に恋をして、選ばれる側の立場にいる。
選ばれる側の立場に立って、初めてたくまさんの気持ちがわかった気がした。
あのときは積極的にアプローチしてきてくれることを、正直気持ち悪いとしか思っていなかったけど、今だったら、そのアプローチに少しは感謝の気持ちを抱けるかもしれない。
いざ自分に好きな人ができたら、あのときのたくまさんほどではないにしても、自分も積極的にアプローチをしていることに気づいた。
そもそも私は、過去にまともな恋愛経験がなかった。
それは私が女子中・女子高・女子大と学生生活を過ごしてきたことも大きな理由だと思う。
だから、しっかりと男性に片思いをしたのは今回が初めてだった。
初めての片思いはとてもつらい経験だった。
今まで、少女漫画とかで主人公の女の子が男の子に片思いをして、うまくいかない様子なんかを見ても、周りの女の子みたいにいまいち共感できなかったが
それは、私自信に恋愛経験がなかったからだとはっきり気づいた。
人を好きになるって、こんなに胸がギュっとなるんだ。毎日毎日その人のことばかり頭に浮かんで、その人とデートする様子を妄想して
その人からちょっとしたLINEの返信が来るだけでうれしくなって、その人からちょっとLINEが来ないだけで悲しくなる。
「これが恋なんだ。」
私はそう呟いて、ベッドの上で1人泣きじゃくった。人生初の失恋だった。
そして1週間後。
しゅんちゃんとのLINEはもうやめていた。ベッドの上で泣きじゃくったあの日、私はしゅんちゃんからのそっけないLINEに返信することをやめた。
そして、思い出すことがないようにそっと非表示にした。
もしかしたら、私が既読無視をしたら、しゅんちゃんの方からLINEがくるかもしれないと淡い期待を抱いたが、それもなかった。
そして、けいた君とはどうなっているかというと、こちらも今はLINEをしていなかった。
学園祭当日、私はしゅんちゃんに完全に心を奪われていたので、けいた君との会話を上の空で済ませてしまった。
けいた君は勘の鋭そうな子なので、そんな私の様子から何かを感じ取ったのだろう。
学園祭後は数回LINEでメッセージをしたのち、どちらからともなく自然とやり取りは終わった。
だから私は今すべてを失った。
せっかく私のことをよく思ってくれていたたくまさんは私が切った。そして、しゅんちゃんを好きになってしまったことが原因で、結構いい感じだったけいた君とも破綻した。
片思いをしたしゅんちゃんにも選ばれなかった。
全部自分で選んだ道だったけど、後悔はたくさんあった。
でも、今更後悔しても過去は戻ってこない。あるのは未来だけだ。そして私は今、その未来に希望を抱けずにいた。
そんなとき、LINEの通知がなった。
「お久しぶりです!こないだ合コンで会ったしょうまです。覚えてますか?急であれなんですけど、今度よかったらカフェでお茶でもしませんか?実はおすすめのカフェがありまして」
しょうま君からのLINEだった。
あまりの衝撃に一瞬固まったが、冷静になって私は自分に1つ誓った。
「今度こそ後悔をしないように、目の前のしょうま君にしっかり向き合おう」と。
策士の顛末
なんとなく感じてはいた。
学園祭の当日、もえちゃんに会うと、なんだか反応がおかしかった。
ついさっきまでLINEで話していたテンションのもえちゃんとは違っていた。
でも、それは定かではなかったので、俺は必死に盛り上げようと、会話をした。学園祭に出ているたくさんのお店をもえちゃんに紹介しながら回った。
本当は、学園祭を2人で回るつもりはなかった。知り合いに会うと、いろんなことがばれて面倒くさくなる可能性が高かったからだ。
だから、本当は少し人気のないところにでも行って2人で話すはずだった。
けど、会った時のもえちゃんの雰囲気を見たら、いてもたってもいられずに、校内を2人で回ることにした。
途中途中でもえちゃんは楽しそうに笑っているときもあったけど、それでもなんだか魂が抜けているようだった。
3日後。しゅんちゃんから電話があった。
「おうけいたか。悪いな忙しいときに。いま大丈夫か?」しゅんちゃんの電話のテンションからして、いい話でないことは明白だった。
「うん、いいよ。どうした?」
しゅんちゃんはそこからゆっくり話し出した。
自分が学園祭でもえちゃんに会ったこと。そしてもえちゃんから連絡先を聞かれて教えたこと。LINEを1週間くらいしたけど、自分はまったく異性として見ていなかったこと。
辛そうに話してくれた。しゅんちゃんは、これを話すかどうか、ずっと悩みに悩んで、地元の友達にも相談して、結局話すことに決めたんだと教えてくれた。
「ごめんなけいた。これを話したら、絶対にお前は傷つくとわかってたんだけど、それでも黙ってはいられなかった。友達のお前に隠し事をしながら関わり続けるのは無理だった。ここで話さなかったら、あとから一生後悔すると思ったんだ。」
それは紛れもないしゅんちゃんの本心だったように思う。
しゅんちゃんを恨むつもりは毛頭なかった。
辛いのは、だれも悪くないってことだった。自分のこのやるせない気持ちをどこにぶつけていいのかわからなかった。
自分なりに一生懸命やった。デートプランも死ぬほど考えたし、髪型や服装もめちゃくちゃ研究した。
どこで俺は間違えたんだ?
学園祭に誘ったことか?
いや違う。本当はなんとなく気づいていた。
今回もえちゃんとうまくいかなかった直接の原因になったわけではないが、俺は自分がうまくいくことに必死だった。そのためには、周りがどうなってもいいと思った。
もえちゃんとの初デートで少しだけたくま先輩の悪口を言った。
しょうまには自分がもえちゃんにアプローチしていないと嘘をついた。
結局、自分の成功のために人はどうなってもいいという考えが根本的にダメだったんだろうなと思った。
神様が与えた罰だとか、そんな非現実的なことは言いたくないけど、それでも、自分の根本的な性格に問題があったような気がした。
駅から家への帰り道、空を見上げながらそんなことを考えていると、琥珀からLINEがあった。
「ようけいた!来週の土曜日空いてたら、ちゃりで走りに行こうぜ!」
「ふっ」思わず笑みがこぼれていた。
琥珀もゆらちゃんとうまくいかなかったことから立ち直って前を向いている。俺も前を向こうと思った。次好きになった女性は必ず落とせるような、素敵な男性になることを1人誓った。
はい。いかがだったでしょうか。
八章は少し暗いトーンの話になってしまいました。
ちなみに、この小説を書き始めるときの冒頭でも話しましたが、基本的にこの話はノンフィクションです。
細かい心理描写など、脚色を加えている部分も多くありますが、出てくる登場人物や、起きた出来事の大枠はすべて事実です。
恋愛は残念ながら、喜びばかりを味わえるものではありません。
ときに傷つき、傷つけ。悲しみ、悲しませ。寂しくなり、寂しくさせ。怒り、怒らせ。
そして喜び、喜ばれる。
恋愛は喜怒哀楽そのものです。
だからこそ、人生を豊かにするためには欠かせないテーマなんです。
これだけ多くの感情を刺激するからこそ、本当に大好きな理想の彼女ができたとき、その喜びは今まで味わってきた何物にも代えがたい感情になるでしょう。
それは、僕が保証します。
だから頑張りましょう。
このブログの目的は「皆さんに理想の彼女を作ってもらうこと」です。
皆さんに結果が出るように、僕も一生懸命記事を書きます。
この物語も、いよいよあと二章でフィナーレを迎えます。
最後は主人公のしょうまともえの結末。そして、合コンから3か月後の登場人物それぞれの思いを描いていきます。
ここまで読んでくださった皆さんには、ぜひ物語の結末を見届けていただければと思います。
それでは。
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