さて、本記事は小説形式でお届けしております。
まだ前回の話を読んでいない人は、ぜひこちらから読んでみてください。
さて、前回はもえちゃんとけいたのデートの様子を描いてきました。
その中で、デートに臨む際にはどこまで事前準備をしていくといいのかという点にも触れてきました。
今回は、もえちゃんとけいたのその後を中心に物語を進めていきます。
ここにきて、新キャラも登場するのでお楽しみに!
それでは参りましょう。
次なるステージへ
今日は久しぶりにかなとバイト後にごはんを食べにきていた。
「で、もえ。けいたとのデートはどうだったの?」かなは身を前に乗り出しながら、ニヤニヤして聞いてきた。
「うん、いい感じだったよ!楽しかった」私は目の前にあるサラダにドレッシングをかけながらそう答えた。
「やっぱりー。もえのここ2,3日の様子見てたら、この前のデート楽しかったんだろうなって思ったよー」かなは目の前にある大盛のライスを、口を大きく開けてほおばった。
「最初はけいた君がぎこちなくてどうしようって感じだったんだけど、途中から会話がスムーズにいくようになって、2人の共通の趣味の漫画の話題とかで盛り上がったよ!」
「なるほどねー。けいたちょっと真面目なとこあるからなー。しゃべり出したらめちゃくちゃ面白いやつなんだけどねー」かなのライスを食べる勢いは止まらない。
「途中慣れてきたあたりからは適度にボケを放り込んでくれるようになって、すごい笑ったよ」
「あー、それは途中からもえに慣れたんだねきっと。面白いよねけいたって」
「うん。普通に趣味の話が盛り上がるだけでも楽しいけど、やっぱりその中に笑いが適度にあると一緒にいて楽しいなって感覚になるよね」
「なるなる。適度にってとこがポイントだね!」
「そうだね。あんまりずっとボケ倒されても鬱陶しいからね。たまにそういう人いるけど」そう言って私の中に真っ先に浮かんできたのが、合コンのときの琥珀君だった。
彼は確実に笑いのセンスがあって面白かったけど、少々話しすぎだった。
世間的に、面白い男子がモテるという風潮が男子の間には広まっているらしく、「面白い男子」を勘違いする男子が続出している。由々しき事態だ。
「面白い男子」というのは女子の話をしっかり聞きつつ、それに合わせて会話を回すことができて、適度なボケやツッコミを入れることができる男子をさす。
決して、サルみたいにぴーちくぱーちくと騒ぎまくって場をかき乱す男子のことではないのだ。
「まあでも、けいた君とのデートがうまくいったようで私としてはよかったよ」そう言いながらかなは大盛のご飯を平らげた自分のおなかをさすった。
「うん。それは私も本当よかった!来週の学園祭が楽しみだよ」
「そっかー。けいたのやつ来週の学園祭にもえを誘ったんだもんねー。いよいよ次は第二ステージですねー」かなはまたニヤニヤしていた。
「第二ステージって、言い方(笑)」
そう言って、私たちは2人で笑いあった。たしかに、初デートを第一ステージとするなら、来週の学園祭は第二ステージかもしれない。
次のステージでも、けいた君と楽しく過ごせればいいな。私はそれを願った。
傷つくのを恐れるのはふつうのこと
「結局しょうまはあのあともえちゃんとLINEしてないの?」
「あ、うん。特に話すことがあるわけじゃないし。たくま先輩がデートに誘ったんでしょ。」
「あーでも、たくま先輩ともえちゃんとのデートは失敗に終わったみたいよ。」
俺たちは、サークルの教室で2人、机の上に座って話し合っていた。今日は俺と琥珀の2人は授業の途中に空き駒があり、こうして先に2人でサークルの教室に集まっている。
「そうなんだ。たくま先輩あんなに合宿で自慢してたのにかわいそうだな」
「まあそれに関しては自業自得でしょ」琥珀はそう言って少し笑った。俺は笑えなかった。
「けいたは結局もえちゃんをデートに誘ったの?」実は気になっていたことを、しれっと琥珀に聞いてみた。
「それがね、俺も知らないんだよなー。あの後そんなにけいたと話してなくてさ」
琥珀がけいたの話を知らないのは意外だった。用心深いけいたのことだ。琥珀にすら自分の動きを話していないのかもしれない。
もしくは、琥珀が知ってて黙っているか。
「そっか。」
俺はぽつりとそうつぶやいた。
かなから合コンの誘いを受けたあの日、たしかに俺は浮かれていた。
さえなかった俺の大学生活が変わるかもしれないと希望を抱いたからだ。琥珀に教えてもらって、服だっておしゃれになった。合コン当日だって、それなりにうまく女子と話せた。
だけど俺は、合コン後誰もデートに誘えていない。あと1っ歩のところで勇気がでなかった。
淡い期待を抱いている分、デートに誘って断られて、また傷つくのが嫌だったからだ。
恋愛も勉強も、俺はたくさんのことで傷つきながらここまで生きてきた。それこそ高校生活なんか悲惨なものだった。
休み時間は、教室の隅っこの方でひたすら携帯を触っているそんな学生だった。友達だってほとんどいなかった。
せっかくここまでうまくいっている分、このいい気分をここで壊したくないという臆病な気持ちが強く俺を支配していた。
「しょうまさー。もえちゃんのこと気になってるんだろ。だったらデート誘えよ」
琥珀は沈黙を破り、虚空の天井を見つめながらそう言った。
「わかるよ。傷つくの怖いんだろ?でも意外かもしれないけど、俺も結構傷ついてるんだぜ」
琥珀はそう言ってLINEのやり取りを俺に見せてきた。それは、こないだの合コンに参加していたゆらちゃんとのやり取りだった。
見ると、デートに断られ、そのまま未読無視されていた。
「琥珀。おまえこれ。」
「そうだよ。こないだのゆらちゃん。誘ったんだけどうまくいかなかったわ」琥珀はそう言いながら、頭を掻いて笑った。無理して笑っているようにしか見えなかった。
「しょうまたち3人が誰もゆらちゃんにいってなかったから、俺ゆらちゃんが1番気になったし、アタックしてみたんだけど、このざまさ」
琥珀はそういうと、ぽんと机から降りた。
「俺だって失敗するんだぜ。俺だってってのも偉そうだけどさ(笑)失敗したらたしかに傷つく。けど、挑戦しなかったら、いつまでも望む未来は手に入らなないぜ?」琥珀は今までにない真剣な顔でそういった。
俺はその言葉ではっとした。琥珀でも傷つきながら頑張っているんだ。いつもはあんなに明るいけど、その裏ではきっと辛い思いをたくさんしてるんだ。
琥珀の言葉には、俺をそう思わせる、強い魂が宿っているように感じた。
「おれ、学園祭終わったタイミングでもえちゃん誘ってみるよ」
俺は笑顔でそういった。その言葉を聞いた琥珀は一瞬驚いたように固まったあと、すぐに優しい笑みを浮かべた。
「おう。頑張れ!失敗したらそれはそのときさ!」
琥珀も同じくらいの笑顔でそう返してくれた。
波乱の学園祭(1)
実のところ、大学の学園祭に行くのは初めての経験だった。
というのも、私はサークルに入っていないので、出し物も特にださなかったし、学園祭に参加する理由が今までなかったからだ。
だから、大学の学園祭というものが正直あんまりよくわかっていなかった。
高校の学園祭では、各クラスが劇や出し物をしてそれをぶらぶらとみて楽しむ形式だったけど、おそらく大学の学園祭はちょっと違うのだろう。
大学の学園祭は、いろんなサークルが食べ物屋をメインにやっているイメージだ。そのイメージもあっているのかよくわからないけど。
でも、こないだデートのとき、けいた君が自分のサークルでやっている「やきうどん」のチケットをくれたので、とりあえずけいた君のサークルが食べ物屋をメインでやることは間違いない。
そんなことを考えながら、私はけいた君が通っている大学の最寄り駅に着いた。
最寄り駅の段階から、土日なのになんとなく学生が多い気がしたので、きっと学園祭効果で盛り上がっているのだろう。
男の子に誘われて学園祭に来ている自分を冷静に考えたとき、なんかすごくドキドキしたし、恥ずかしい気持ちになった。
だって、なんかドラマみたいじゃない。
向こうについて、けいた君を見つけて目が合って
「あ、もえちゃん来てくれたんだ。もう少しで休憩だからちょっと待ってて」なんて言われて、そのへんで待っていると、サークルのほかのメンバーからけいた君がからかわれて、私をほかのメンバーがチラチラ見る。
「君に届けか!」思わず私はそう一人ツッコミをしていた。
そんな風に妄想をしながら大学を目指していると、けいた君からLINEが来た。なんだかLINEの通知音だけですごくドキドキした。
パスワードを入れてLINEの画面を開くと
「もえちゃんもうそろそろ大学つく頃かな?俺いま、チケットを売るために大学のメインストリートを歩いてるんだけど、俺のサークルのブースにはかながいるから、いったんそこでかなと待っといて!」
そうメッセージがきていた。
私はそのメッセージを見て携帯を胸の近くで抱きしめると、再び歩き出した。
このあと、とんでもない出会いが待っているとは知らず。。
モテる男はつらいよ
「いらっしゃい。いらっしゃい」俺はブースの前でやきうどんを焼きながら、大きな声を張り上げていた。
たまにそんな俺と目があった女の子が、ブースに来てくれてやきうどんを買っていってくれる。すごくありがたかった。
「いやー。しゅんちゃん店頭に立たせておくと頼もしいねー。やきうどんが売れる売れる。売上もこれでがっぽがっぽですよ」そう言って、横でげらげらとかなが笑っていた。
「大きい声で一生懸命やってる感じが伝わってるんじゃないきっと?」俺は言った。
「何を謙遜されておりますかしゅんちゃん殿。どう考えてもあんたの顔目当てで女子が寄ってきているじゃないの、この色男」そう言ってかなは俺を肘で小突いてきた。
まあ、正直な話、俺の顔で女子が寄ってきている自覚はあった。
けど、当たり前のことすぎて今更驚かないし、こういうのはあんまり自慢するものでもないから、さらっと流すようにしている。
自分がモテることをはっきり自覚したのは中学生のときだった。
3年連続で女子から2桁バレンタインのチョコをもらったときに俺はモテると確信した。
それまでは、女子から告白されても、周りからお前はモテるからいいよなと言われても、あまり自覚はなかったが、さすがにあれだけのチョコレートを3年連続でもらえば、自然と自覚が芽生えた。
ちなみに、モテる男も案外しんどい。
例えば、モテる男は自分が好きでない女子から告白されることが非常に多い。その都度、自分をせっかく好きになってくれた女の子が傷つかないように気を遣いながら振るというのは、想像以上にハードなことだ。
それを年に数回やらなければならない。
あとは何かあるごとにいちいち女子に囲まれるので、たまに鬱陶しいこともあるし、男子にもよく嫉妬されて、男友達も作りにくい。
だから、大学はそういう生活とは離れたくて、あまり女子がいなくて男子もおとなしそうなやつが多いサイクリングサークルを選んだのだ。
そんなことを1人考えていると、正面から女の子が何やらこちらめがけて歩いてくる。
それに気づいた隣のかなが大きく手を振っている。どうやら知り合いらしかった。
そして、そのままこちらに歩いてくるかなの友達らしいその女の子と目があった。かなの友達であることは間違いなさそうなので、軽く挨拶をした。
「こんにちは。しゅんって言います。」
俺がうかつにした挨拶がこの後あんな大波乱を起こすことにつながるとは、このときの俺は思ってもいなかった。
はい。いかがだったでしょうか。
新キャラ「しゅんちゃん」が登場しましたね、このしゅんちゃんともえの出会いがこの後思いもよらぬ方向に物語を進めてきますので、次章も楽しみにしていてください!
そして、今回の七章の中では、すごくしれっと大事な話を盛り込みました。
皆さんどれが大事な話だったかわかりますか?
正解は、わたくし琥珀がしょうまに向って言ったこの言葉です。
「失敗したらたしかに傷つく。けど、挑戦しなかったら、いつまでも望む未来は手に入らなないぜ?」
これは本当に僕が当時しょうまに言った言葉です。
この言葉を言った僕は、自分が失敗して傷ついたことがないからこんな言葉を軽々しく言えたわけではありません。
むしろ、本文中でもゆらちゃんに振られた話をしていますが、それ以外にもたくさん傷ついてきたことばっかりの人生でした。
興味のある人は、こちらから僕の詳しいプロフィールが読めますのでぜひ。
でも僕は歩みを止めなかった。それは、「挑戦しないものに臨む未来がこないこと」を知っていたからです。
今日までの25年間、たしかに立ち止まったことはありました。でも、それでも、最後は自分の足で踏ん張って、今日まで必死に進み続けています。
皆さんも今までの人生の中でたくさん傷ついてきたと思います。特にこのブログを読んでくださっているみなさんは、恋愛でたくさん傷ついてきた人が多いかもしれない。
傷つくことが重なると、傷つくことを恐れるあまり、立ち止まり、逃げ出したくあることもあると思います。
でも、そんなときはぜひこの記事のこの言葉を思い出してみてください。
「失敗したらたしかに傷つく。けど、挑戦しなかったら、いつまでも望む未来は手に入らなないぜ?」
そして、この言葉には続きがあります。
「挑戦し続けたものには、必ず成功が待っている」
辛いときはぜひこの言葉を思い出してみてください。あなたの恋愛活動がうまくいき、あなたに理想の彼女ができることを、僕は心から願っています。
最後かなりしんみりしましたが(笑)、今回はこれで終わりです。
それでは。
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