さて、本記事は小説形式でお届けしております。
まだ前回の話を読んでいない人は、ぜひこちらから読んでみてください。
前回の話の復習をすると、しょうま・けいた・もえの3人がそれぞれ合コン本番に向けて、どのように準備したか、どのような心持でいたかを書いてきました。
しょうまに関しては、実際に琥珀と服選びに行った様子を書きましたが、「モテる男の服装5箇条」という超実践的な内容の話も書いたので、ぜひ参考にしていただければと思います。
今日はいよいよ合コンの様子を描いていきます。合コン参加者8人が一堂に会する様子を描いていきますが、その中でも、皆さんが気になる合コンでのトークテーマに関して言及していければと思っています。
それでは、参りましょう。
第三章 6人の恋の行方は
じゃーーーーー。大してトイレに行きたくもないのに、思わずトイレに行ってしまった。
トイレのレバーを引いて水を流し、手を洗いながら、気持ちを落ち着けた。
そもそもどうして俺がこんなに緊張しているんだ。って感じだ。
俺はあくまで助っ人で、別に今日の合コンのメンバーという位置づけでは本来ないのだが。
写真を事前に見せてもらって、思ったよりも女子が可愛かったから、柄にもなく意外と緊張しているような気がした。助っ人のくせに、完全にあわよくばスタイルだ。
さすがに男子メンバーの3人と狙う女性が被ったりしたら遠慮はするが、向こうの女子が俺をご指名だったりした場合は、その限りではないだろうと思っていた。
ここで少し時間が遡る。
けいたと二人お店に着いたら、店先にはかなとしょうまが待っていた。
「おーー。来た来た。これで全員そろったね!」かなが言った。
どうやら俺とけいたの二人が最後だったらしい。5分前には到着したのだが、ほかのメンバーの到着がめちゃくちゃ早かった。
「おー、わりいわりい。俺らが最後か」
「そうだよー。女子とたくま先輩は先に入って待ってるから、早くいくよー」そう言ってかなは店に入っていった。
なぜしょうまは店先で待っていたのに、たくま先輩は一人中に入ったのだろうか?
気まずくないか?と思ったが、たくま先輩なりのスタートダッシュだったのかもしれない。確かに先に入って、その場をうまく温めることができたら、合コンという恋愛ゲームを、俺たちより一歩先に進んだ状態で開戦することができる。
逆に、そこで場の温めに失敗してしまうと、出鼻をくじかれることになるので、よほど自分のトークスキルに自信がなければ、単身での戦場への突撃はあまりおすすめはできないが。
そんなことを考えていると、いよいよ、女性陣が待つ座敷の前に到着した。
急に緊張しだしたのを、周りのかなやしょうま・けいたに悟られないためというのが1つと、もう1つは、なんとなく遅れて登場した方がかっこいいのではないかという「ヒーローは遅れてやってくる理論」を思いついて
「わり。ちょっとトイレ行ってから行くから、みんな先席行っといて」
と言ったことをきっかけに、今俺はトイレにいた。
まあたしかに、遅れて席に上がることで、みんなの注目を一身に浴びることはできるが、別にそれが合コンの正否に関わるかといったら、ぶっちゃけそうでもないので
やはり単純に緊張を紛らわせたかったというダサい理由が、俺がトイレに駆け込んだ1番の理由だと思う(笑)
「みなさんすいません、遅れました。琥珀です。よろしくお願いします」
俺は勇気をもって戦場に1歩足を踏み入れ、立ったまま軽く挨拶をした。
合コンという名の戦いが、今ここに幕を切った。
開戦の狼煙
開戦早々、会話のペースを作り、コントロールしだしたのは琥珀君だった。自己紹介でもめちゃくちゃ前のめりで場を盛り上げて、そこには少なくない笑いが生じていた。
が、少し前にですぎだぞ琥珀君。という感じだった。
かなから事前に、メインの3人だけでは会の会話がこころもとないので、助っ人を1人呼んでくるとは聞いていたが、はっきり言って頑張りすぎだ。完全に空回りしてしまっている。
盛り上げの度を越えてしまって、最初の自己紹介ではほとんど琥珀君以外のメインの3人の話が入ってこなかった。琥珀君がいちいち自己紹介をちゃかしたからだ。
正直苦手なタイプだった。彼は彼なりに場を盛り上げようと頑張ってくれているのは評価するが、もし万が一、彼も助っ人という立場ながらこの戦いに参戦しようとして、アピールの意味で目立っている側面もあるとするなら、彼の立ち振る舞いは大間違いだ。
これは合コンの男子あるあるなのだが、彼らは目立って話しまくる男がモテるんだと勘違いしているように思える。
これは偏見かもしれないが、特に体育系上がりの男子はその傾向が強い気がする。我先にと目立とうとするやつばかりだ。だから、運動部男子との合コンは嫌なのだ。
自分がアピールすることばかりが頭にあって、周りの友達を蹴落としてまでしゃべろうとする男子がたまにいるが、冷静に考えてそんなやつのことを私たち女子がいいと思うわけがない。
完全に逆効果だ。
むしろ私たち女子が好感を抱くことが多いのは、周りの会話の空気にも配慮しつつ、自然と場を盛り上げて、ちょうどいいバランスで自分がしゃべりながら、こっちに話題を提供してくれる男子だ。
特に、こっちに話題を提供してくれるというのはポイントだ。
今の琥珀君もそうだが、なんとか女子によく思われようとする男子は、大体自分の話ばかりをしがちで、女子に話をふってくれない。
よっぽど面白い話なら、多少一方的に話されてもいいとは思うが、それでもやっぱり自分も話がしたいと思う。女子は話好きな生き物なのだ。
だから、基本的には私たち女子の話を聞きながら、「うんうん。それでその話の続きは?」という風に、私たちが話をしやすいように会話を盛り上げてくれる男子の好感度が高い。
世の中の男子諸君にはぜひこのことをわかってほしいなと思いながら、目の前のカシスオレンジを飲んでいると、みんなの目線がこっちに向いていることに気づいた。
「もえちゃんは趣味とかあるの?」話を振ってくれたのはしょうま君だった。
ずっと琥珀君の話が続いていたので途中で半分聞いていなかったが、気づいたら琥珀君のターンが終わり、私にターンが回ってきたようだ。
さて、しょうま君・けいたくん・たくまさん。私のお眼鏡にかなう男子はいるか。
今からが本番だ。
心配しすぎだったのかも
合コン開始から30分ほどたつが、不思議なことにそこまで緊張していない。
しかも、想像していた以上に自分はうまく話せている気がする。
琥珀が最初の一番気まずい空気を和ませてくれたのも大きいかもしれない。さすが助っ人だ。服装選びの件といい、今回は琥珀には感謝しかない。
ただ、そうして琥珀が盛り上げてくれる様子を見ている女子が、あまり楽しくなさそうな顔をしている気がしたのが少し気にはなったが。
場も大分和んできて、自分もうまく話しに混じれている気がするので、思い切ってもえさんに話を振ってみた。
「もえちゃんは趣味とかあるの?」言ったあとに、なんかしょうもない質問をした気がしたとも思ったが、まあ自分から勇気をもって話題が振れたのでよしとしよう。
ちなみに今は、男女半々になって話を進めている。さすがに8人全員で会話をするのは無理があったのか、気づいたら自然にグループが2つに分かれていた。
俺がいるグループには琥珀と俺、女子はもえちゃんとしょうこちゃんの4人がいた。
もえちゃんに話を振ったのは、何となくもえちゃんの印象がここまででよかったからだった。
「趣味かー。えっと、音楽聞くの好きかな。YouTubeでよくPVとか見てたりするよ!」
なるほど、音楽と来たか。音楽は自分もある程度幅広く知っているので、好きなジャンル次第だが、話を合わせられると思った。
「音楽いいねー!俺も好きだよ。どんなジャンルの曲聴くの?」
「えっと、ジャンルは洋楽が圧倒的に多いかなー」もえちゃんは人差し指を顎に当てて考えるしぐさをしながらそう答えた。可愛かった。
そしてそれよりも俺がテンション上がったのが、俺も洋楽が好きだったから、趣味が同じだったということだ。これには喜ばずにはいられなかった。
「え、まじ!?俺も洋楽好きだよ!ええ、アーティストとか何聴くの?」気づいたら俺は前のめりで話を聞いていた。
これは後から知った話だったが、合コンで話題選びのコツは相手の趣味を聞き出して、できるだけそれに関して話をすること。だと知った。
合コンでの話題に困る人は多く、モテない男子にとって合コンでのモテる話題選びは、のどから手がでるほど欲しい情報だと思う。
とにかく盛り上げようと思って一生懸命しゃべっているのに盛り上がらないとか、1番難しいのは、その場では女子も楽しそうに笑っていたのに、実は全然楽しんでいなかったとか。
そんな悲劇も起こりうるらしい。
男子からすると、「楽しくないのに楽しいふりするなや。惚れてまうやろー」と、どっかの芸人みたく叫びたくなるところだとは思うが、女子は女子で気を遣ってそういう行動をしてくれているらしい。
女子は男子に比べて空気というものを非常に重んじる性質があるので、面白くなくても、その場は面白いかのように演じることが得意なようなのだ。
少し話が逸れたが、相手の趣味を聞き出して、あとはその話に関して根ほりはほり聞いてあげれば、大抵の女子は喜ぶらしい。知ってしまえば、案外ちょろいんだなと後から思った。
ほとんどの女子は自分の話をしたい生き物なので、女子の好きな話題に関してうまく話させてあげることができれば合コンの話題としては上々だ。
これができれば、少なくとも狙った女子から嫌われることはない。
「この人とは話があって、一緒にいて楽しそうだ。デート行ってもいいかな」と思わせることができる可能性だってある。
たまに、女子の方が積極的に話題を振ってくれることもあるが、そんなときもあまり自分の話をしすぎずに、相手の女子に話を振ってあげるのがモテ男子のたしなみらしい。
と、今語ったようなことは後から知った話なので当時は当然知らなかったが、たまたま相手の趣味を聞き出すことに自分は成功していた。
案外琥珀みたいに話上手じゃなくても、女子にモテることは可能なのかもしれない。むしろ、話上手は、自分の話をしたがる癖があるので、男友達同士だといいけど、意外に女性にはモテないのかもしれないなと後から思った。
その点、話下手な俺みたいにな人間は、相手の話を聞いてあげてた方が楽だし、それが自然とできるから、逆に女性にモテやすいのかもしれないとこれまた後から思った。
ちなみに、この日の俺は絶好調で、女子の趣味を聞き出しては、自分の知識で話を盛り上げつつ、女子にたくさん話をしてもらうということができていた。
そんな感じで盛り上がる俺の横で、気づいたときには、琥珀は前半のような盛り上がりは見せておらず、黙って話を聞いている場面も多かった。
当時は、琥珀は助っ人として気を遣って、あえて途中から話に入らないようにしてくれていたのかと思っていたが
あれから大分時が経った今振り返ると、琥珀は単純に話に入っていけてなかっただけだったのかもしれないなと思った。
何はともあれ、俺にとっての合コンは大成功で幕を閉じた。
はい。いかがだったでしょうか。第三章はこれで終わりです。
四章以降も回想のような感じで、当日の話が出てくることはあると思いますが、いったん合コン当日の話はこれで終わります。
合コンにも戦略が存在します。その中でも今回取り上げたのが、「モテる話題作り」に関してです。
数ある戦略の中でも非常に重要なポイントとなります。このモテる話題作りができるかどうかで、あなたにとっての合コンの成否が決まるといっても過言ではないくらい重要です。
よく、たくさん話して女子を笑わせるやつがモテるという勘違いをする男子がいますが、モテるのは、女子の話をたくさん引き出すことができる人です。
たくさん話して女子を笑わせるやつがモテているのだとすれば、そいつは根っからのモテ男で、自分も話して相手を笑わせつつ、ちゃんと相手の女子の話も聞き出して聞いてあげているはずです。
皆さんがたくさん話して女子を笑わせるやつがモテると勘違いしてしまいがちなのは、こういう生まれながらのモテ男が周りにいたからだと思います。
さて、合コン当日は終わってしまいましたが、合コンが盛り上がるのは大体当日以降と相場は決まっております。
今回のこの話も、ここから事件の連続で盛り上がりを見せるので、ぜひ楽しみにしておいてください!
それでは。
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